新年を迎えて

会長 芳村学

明けましておめでとうございます。2019年の年頭にあたり、JCI会員の皆様に新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は「自然災害が多発した年」として記憶に残るのではないかと思います。主要なものだけを拾っても次のようになるからです。(1)6月18日の大阪北部地震(最大震度6弱):大阪において高速鉄道のほとんどが止まり、多くの通勤困難者を出した。(2)7月初めの西日本豪雨:中国地方や四国で土砂崩れや河川の氾濫が相次ぎ大きな被害が出た(神戸で開かれていたJCI年次大会の三日目午後が中止となったのは記憶に新しいところです)。(3)7月〜8月初めの猛暑:埼玉県熊谷市で歴代最高となる41.1℃を観測するなど各地で記録的猛暑となり、熱中症が頻発した。(4)9月4日の台風21号:関西地方を直撃し、高潮により関西国際空港が浸水したほか、大阪を中心として大規模な停電が発生した(昨年は上陸台風数自体が多かった)。(5)9月6日の北海道胆振東部地震(最大震度7):一か所の火力発電所でのボイラー破損が引金となり道内全域で電気がストップする事態となり、完全復旧までに1週間を要した。

ここで、猛暑は「地球温暖化」の直接的結果ですし、豪雨や台風もそれに伴う気候変動により引き起こされたものです。JCIでは、従来から、コンクリート生産におけるCO2排出の削減に取り組んできました。しかし、昨年(およびここ数年)の事態を見るにつけ、地球温暖化の影響が深刻になってきていることを痛感します。使用可能な廃棄物や副産物の有効活用を含め、CO2排出の削減に向けた技術開発にこれまで以上に積極的に取り組んでいかなければならないと考えています。

昨年は震度7を含む大きな地震が二度起こりました。95年の兵庫県南部地震で48年の福井地震以来の震度7を観測して以来、列島が地震の活動期に入ったことは確かなようです。その後、 04年の新潟県中越地震、11年の東北地方太平洋沖地震、16年の熊本地震、そして前述の北海道胆振東部地震と、震度7が五回も記録されているからです(熊本地震では一日をおいて二度記録された)。地震や豪雨、台風などの自然災害に対しては、「身を守る」ための構造物や地盤の安全だけでなく、「生活を守る」ための電力・ガス・水道などのライフラインの安全や交通インフラの確保も重要です。「自然災害に対する安全性の確保」は、JCIの重要課題としてこれからも力を入れていきたいと考えています。

一方、これまで活動が十分でなかった分野もあります。コンクリート分野における女性の進出の極端な遅れ(約7,000名の会員のうち女性会員は3.7%に過ぎない)と一部にあるコンクリートに対するネガティブなイメージを払拭する対策の遅れです。前者については、「コンクリート分野における女性活躍推進普及委員会」を立ち上げ、昨年の年次大会でアンケートやインタビューによる実態調査とそれに基づく行動計画案を示しました。今年の年次大会では最終成果が報告される予定です。また、後者では「イメージアップ広報戦略検討委員会」を立ち上げ、メディアを通じた広報戦略とイメージアップにつながるような革新的技術を提案し、その成果を昨年10月にウェブへ掲載いたしました。ふたつの課題とも解決までには時間を要するかもしれませんが、粘り強く続けていくつもりです。

以上、本年も皆様のご支援、ご協力を得て、上記を含む諸課題に取り組んでまいる所存でおります。宜しくお願い申し上げます。

よしむら・まなぶ
首都大学東京 名誉教授

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