jci Kyoto 2003 実行委員長たより(No.1)

実行委員長 西林 新蔵 (大阪産業大学)


 コンクリート工学年次大会が近畿地区で開催されるのは今回が3回目にあたります。1984年の第6回大会は大阪で開催されましたが、当初開催場所として決定されておりました大阪科学技術センターが関西空港建設反対の過激派集団によって焼討ちに遭い、急遽会場を日本生命中之島研修所に変更し開催に漕ぎつけた経緯があります。次の第15回大会は1993年に神戸で開催されましたが、この頃日本は経済の絶頂期にあり、懇親会は神戸港周辺のクルージングの船内で行われたことを記憶しております。その僅か2年後の1995年1月阪神大震災に見舞われ、阪神間のコンクリート構造物は甚大な被害を被りましたが、この前後の時期から日本の景気は衰退の一途をたどり、今やそのどん底にあるとの感が致します。
 21世紀に入り、社会の大変換期の最中にJCI全国大会の開催当番が近畿支部に回ってきました。 近畿地区は、京都、大阪、神戸の三都が輪番となってイベントの開催を引き受けるのが一般の慣しとなっていることもあって、今回の第25回大会は京都で開催することになりました。
 開催会場の国立京都会館(KICH)はわが国で初めての本格的な国際会議場で、サミットをはじめ多くの重要な国際会議が開催され、1997年の気候変動枠組条約締約国会議、地球温暖化防止会議で採択された「京都議定書」は、今後の地球環境のあり方、つまり「持続可能な発展」のための行動計画の一環としての位置付けがなされた重要な会議であったことは記憶に新しいところであります。
 昨今の景気の停滞、同時テロの勃発など、種々の社会不安の中で京都大会を開催するに当たって、本大会は学術研究の発表と最先端技術の紹介のテクノプラザに重点を置いた大会にすることを実行委員会の合意事項と致しました。昨今のように景気が悪く、建設活動が停滞したときこそ、われわれコンクリートに携わるものは改めてコンクリートに対する認識を新たにし、基礎から応用にわたるコンクリート工学全般のレベルアップを図る絶好の機会であると考えております。つまり、近い将来必ず到来する新生、かつ輝かしい(はんなり)コンクリートのために知識を充電する時期であると認識しております。そのため、今回の大会ではできるだけ多くの研究を、発表と討議に時間を取ったプログラムを編成したいと考えております。またテクノプラザにおきましては、昨年よりも充実した技術紹介セッションの場所と時間を提供することに致しております。懇親会は最終日にまわし、ともすれば最終日の発表と討議がやや等閑になりがちな傾向の打破と、優秀な研究発表を行った若手研究者を参加された皆様方とともに賞賛することともに、次回開催地への引継ぎを行いたいと、目下鋭意計画を立てているところであります。
 以上今回の大会の概要についてご案内致しました。活発な討論と最高の技術を紹介する場を提供いたしますので、どうか多数の皆様方のご参加をお願い申し上げます。