コンクリートの生産・供給・施工システムの
革新に関する研究委員会

JCI-TC171A
 
委員会設立主旨

 コンクリート技術は、長い時間をかけて、セメント製造技術の高度化、コンクリート製造・施工技術の効率化、混和材料の多様化、コンクリートの高性能化、そしてこれらを支える規格・基準の整備が推進されてきた。それらに伴い、コンクリートを用いる構造物の設計体系や構造計算技術も著しく発展してきたが、現在においてもなお、建設分野、特にコンクリートの生産・供給・施工分野は労働集約型産業の域を脱し切れていない。加えて、工場で製造された半製品状態の生コンクリートが最終的な利用場所である建設現場に運ばれて最終製品である構造物となるという独特のマテリアルフローや日本特有の取引システムが存在する。将来のコンクリートの生産・供給・施工分野の技術的発展、および生産効率の高い資本集約型産業への転換が求められることを考えると、固定化した従来の技術・システムはそれらの阻害要因になることは明らかであり、社会の急激な変化に対応するための変革が必須となる。
 そこで、本研究委員会では、将来、コンクリートに関わる産業を労働集約型から資本集約型産業への転換を推進するために、特にコンクリートの生産・供給・施工システムに焦点を当て、(1)これまでの国内外における技術発展の系譜の整理と新技術適用バリアの分析(WG1)、(2)コンクリート産業を取り巻く社会環境の変化と次世代サプライチェーンのあり方の検討(WG2)、及び(3)次世代施工システムや社会状況の変化に適合する生産・供給システムの検討(WG3)などを行い、コンクリート産業の今後の方向性を明確にし、最終的には具体的な対応のためのロードマップを提言し、その実現に向けた基盤を構築する。


 
 
活動計画

 コンクリートの生産・供給システムとコンクリート構造物の施工システムとは密接に関わっており、コンクリートおよびコンクリート構造物の品質確保を目的として、それぞれのシステムは発展を遂げてきたが、逆に、確立されたシステムの弊害も顕在化している。本研究委員会の活動により、これらの推移を分析評価することで問題の所在が明らかになり、急激に変化する社会状況を踏まえたコンクリートの製造・施工方法やサプライチェーンのあり方なども明確になる。たとえば、将来の施工システムであるデジタルファブリケーションや3次元プリンタ施工への対応方策や資本集約型産業となるための改革方策なども委員会活動によって示され、コンクリート産業の近未来の新たな展開に大きく資する。また、次世代生産・供給に関わる新たな技術についても提示される。
 本研究委員会では、活動開始直後は全体委員会を2回程度開催して、全体の活動方針を議論し方向性を共有する。その後、3つ程度のWGに分かれて調査・研究を行い、その成果を報告書として纏めるとともに報告会を開催し、「提言」という形でコンクリート分野・建設分野だけでなく社会に発信する。さらに、2年間の活動成果を基に「コンクリートの革新的生産・供給システム」および「コンクリート構造物の革新的施工システム」の実現を推進するための母体創設への展開に繋がる。


(c)コンクリートの生産・供給・施工システムの革新に関する研究委員会