中性子線を用いたコンクリートの
検査・診断に関する研究委員会

JCI-TC191A
 
委員会設立主旨

 中性子線はX線よりも強い透過能力を有し,近年,コンクリートに適用する研究が行われるようになってきた。(1)コンクリート中の水の経時観察,(2)コンクリート内部の欠陥(滞水や空隙)の検出,(3)コンクリート中の塩分の非破壊測定,等を定量的に行えるため,コンクリート構造物の健全性に関わる重要な情報を与えるツールになる可能性を持っている。
 本委員会の前身にあたるTC-184Fでは中性子線をコンクリート構造物の検査,診断方法として活用するにあたり,中性子線による検査と診断に関する技術の現状,および構造物の調査に関わるシーズとニーズを明らかにした。その成果を踏まえ,本委員会では理化学研究所が余裕する小型中性子源に利用を軸に,中性子線を,(1)コンクリート構造物の変状箇所のスクリーニング技術,および,(2)コンクリートの品質や劣化・損傷状態の診断技術,として活用すること,さらにはその成果を踏まえて,(3)コンクリート構造物の維持管理体系のシナリオを作成すること,を活動の目的とする。


 
 
活動計画

 現場での実構造物の調査と室内試験による詳細な調査の両方において,中性子線測定に求める精度等の条件を具体的に示し,中性子線を利用したコンクリート構造物の調査,診断のシナリオ作成へと繋げるため,以下の3つのWGで活動する。
 構造物WG:「現場」という制約条件のもとで,中性子線測定に「求められること」と「実施可能なこと」の双方を明らかにする。
室内試験WG:「現場」という制約条件のない試験室内での,中性子測定による様々な可能性を探る。
維持管理体系WG:他の2つのWGの成果をもとに,中性子線による構造物の調査,診断のシナリオを作成する。
FS委員会で利用した理研小型中性子源システムRANSや,2019年内に稼働する可搬型プロトタイプとなるRANS-Uも有効に活用し,他の原子炉や加速器による計測,あるいはRI線源を用いた施工管理なども念頭に活動を行い,中性子を利用した様々な技術を取り扱う。

 
      

中性子線を用いたコンクリートの
検査・診断に関するFS委員会

JCI-TC184F
 
委員会設立主旨

 中性子線はX線よりも強い透過能力を有し,近年,コンクリートに適用する研究が行われるようになってきた。これまで,(1)コンクリート中の水の経時観察,(2)コンクリート内部の欠陥(滞水や空隙)の検出,(3)コンクリート中の塩分の非破壊測定,等の利用方法が提案されている。すべて定量評価できる可能性を持ち,(2),(3)に関してはコンクリート表面から深さ方向の距離情報も非破壊で得られる。したがって,中性子線はコンクリート構造物の健全性に関わる重要な情報を与えるツールになる可能性を持っている。
 中性子線をコンクリート構造物の検査,診断手法として活用するにあたり,シーズとニーズを合致させて技術開発を進めることが極めて重要と考え,異分野融合の場として本委員会を設置した。理化学研究所が保有する小型中性子源の利用を軸に,現場でのコンクリート構造物の診断に適した中性子線による非破壊調査の技術開発の方向性を明確に示すことを,委員会の活動の目的とする。


 
 
活動計画

 FS委員会としての活動期間においては,(1)中性子線を用いた既存の検査,診断手法についての文献調査を実施し,現時点で明らかになっている各手法の特徴,長所,優位点を明らかにする.(2)構造物の所有者,管理者(委員,および,委員外の両者)に対しヒアリングを実施し,現状での維持管理の課題とニーズの調査を行う.(3)コンクリート供試体を研究対象とし、小型中性子源を利用した手法と既往の手法による測定を実施し,この手法の特徴を明らかにする.
 委員会の期間延長が認められた場合には,FS委員会の成果を踏まえ,実構造物・部材への適用もはかり,中性子法を用いたコンクリート構造物診断への維持管理体系のシナリオの作成までを目指す.


(c)中性子線を用いたコンクリートの検査・診断に関する研究委員会