コンクリートと異分野との融合
〜鋼材・地盤から合成化学、そして未来に向けて〜


コンクリート構造物は、私たちの生活基盤、社会・経済活動、自然防災などに、なくてはならないものですが、コンクリート構造物は、周知のようにコンクリートだけで外力や環境作用に適応しているわけではありません。これまでにコンクリートと様々な異種材料を組み合わせることで、強度・耐力・耐久性・施工性・経済性を向上し、そして環境との調和を目指した研究が進められてきました。本特集号では、「コンクリートと異分野との融合」をテーマに次の4つの視点からコンクリート工学のこれからを探ることにしました。

1点目は、コンクリートと異種材料に着目しました。コンクリートと鋼材との組合せには合成構造や複合構造などがあり、建築構造、橋梁、基礎部材などに幅広く利用されています。性能設計の普及、施工方法の進歩と相まって合成構造・複合構造の設計の自由度が拡大しました(第1章)。合成化学の分野では、高品質の防水材や混和材料、高強度の合成繊維などが開発され、コンクリート部材の耐荷性能や耐久性能が向上し、コンクリート構造物の安全性と信頼性を高めることに貢献しています(第3章)。

2点目は、地盤構造物と地下構造物の解析と施工技術に着目しました(第2章)。コンクリート構造物は、地盤工学やトンネル工学の分野でも新しい構造部材と施工方法の研究開発が進められています。地盤調査方法や電子計算機の進歩により、地盤とコンクリート構造物の一体解析も可能となり、精緻な地震応答解析や断層解析も行われています。

3点目は、省資源と地球環境の保全を見据え、建設産業とは異なる産業分野で発生する副産物や未利用資源をコンクリートに取り込む技術を紹介するとともに、コンクリート工学が循環型社会で果たす役割について考えることにしました(第4章)。

4点目は、特に特異な分野との融合に着目しました(第5章)。放射線、パルスパワーに加え、宇宙工学においてもコンクリート材料の開発が行われており、近未来には想像を超える独創的なコンクリートが生み出されることが期待されます。

本特集号は、鋼構造、地盤工学、合成化学など、これまでにもコンクリートと密接に関連した研究開発に加え、極めて特異な分野との融合事例をあわせた内容です。本特集号で紹介できなかった研究分野もあると思われますが、読者の皆様の創造活動の一助になることを目指しました。

(コンクリート工学編集委員会)

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