特集
ブレイクスルーのための材料研究


近年、コンクリートに関する学術研究の分野では、設計・施工・維持管理などの実務にすぐに反映できる成果が得られることが大きな評価軸となっています。コンクリートが土木構造物や建築物などを建設するための材料であり、建設された構造物によって社会に貢献するものである以上、建設や維持管理に役立つ研究を目指すことは当然のことですが、具体的な材料・工法などと直接的には結びついていない基礎的な研究や、検証に時間を要する長期的な研究は行いにくくなっているように感じられます。

一方で、いざ新しい材料や工法を採用しようとする場面では、設計・施工・維持管理に関する技術基準類との整合が問題となりますが、その検討においては、材料に関する基礎的な研究の成果を参照することが少なくありません。一般的に、新しい技術を採用するためには、これまでの経験的、現場的な知恵に基づいて定められた仕様と同様な性能を実現できることが求められますが、これを適切に判断するためには、既存の技術の意味を解き明かし、また、新しい材料や工法についても、地道な試験により、必要な物性等を有していること、実施工でも、品質が確保できることなどを証明することが求められます。このとき、新旧いずれかの技術において、いわゆる「基礎研究」の蓄積が不足していると、新しい技術によるブレイクスルーが実現できません。

そこで、本号の特集記事では、コンクリートやその材料の物性や耐久性、これらを評価するための分析・調査技術等について、近年の研究の現状、今後の展望を紹介していただきました。材料としてのコンクリートやコンクリート構造物は、その基本的な技術は概ね確立されているようにも思われますが、最近でも、種々の「基礎研究」が精力的に行われ、その成果に基づく知識のアップデートが行われています。これらの知見から、読者の方の実務へのヒントを見出していただければ幸いです。

(コンクリート工学編集委員会)

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