コンクリート施工におけるリスク要因の
発生確率調査研究委員会

JCI-TC-053A

 
委員会設立主旨

 平成16年度までに実施したコンクリート構造物のリスクマネジメントに関する2年間の研究委員会活動を通じて、(1)リスクに関する研究の現状調査、(2)構造物の計画・設計・施工・維持管理の全てのフェーズにおけるリスクの洗い出し、(3)契約や入札の方式が相違する場合のリスク要因と対策に関する考察、(4)調査・設計段階および施工段階におけるリスクとその要因の分析、(5)構造物の地震と材料劣化によるリスクとリスク評価の枠組みの検討などを行い、コンクリート構造物にリスクマネジメントの概念を適用するための大枠に関する基礎情報を得た。また、可能な項目についてはそのリスク評価までを行うケーススタディーも実施した。
 しかし、構造物の性能に重大な影響を及ぼす調査・設計段階および施工段階のリスクに関しては、これらのフォールトツリー(FT)は作成したものの、特に施工時のリスク発生確率が明らかでないため、リスクマネジメントシステムの構築というレベルには至っていない。また、施工時のリスクは契約、入札、維持管理のリスクマネジメントにも影響を及ぼす。そこで、本調査研究では、コンクリートの施工時の各種要因によるリスクに限定して、それらの発生確率について調査研究し、各フェースにおけるコンクリート構造物のリスクマネジメントシステム構築のための基礎資料を収集・整理・提供することを目的とする。また、コンクリート施工におけるリスクに対しては、それらのリスクマネジメントを実施するための一応の形態を整えたシステムを構築することも目標にしている。


 
 
活動計画

(1) 活動方法
 1年目は、コンクリート施工におけるリスク発生確率の調査を主体とした活動を行う。リスク発生確率の調査は、最終的にはコンクリート施工の実務経験を有する技術者に対するアンケートを行うが、これを実施する前に、有用なアンケートとなるよう、アンケートの内容、形式、方法、対象などについて十分に検討する。アンケートの内容は、一般的なリスクのみならず、環境リスクも対象にする。また、複数のWGを設け、コンクリート施工におけるリスクの分析方法やリスクへの対応に関する検討、ヒューマンエラーに関する調査研究なども並行して行う。
 研究の1年目の後半から2年目は、アンケート結果の整理・分析の他、上記の各WGの活動内容にアンケート結果を取り込んだ調査研究活動を実施し、これまでに得られているコンクリート施工に関するリスクマネジメントシステムの大枠に肉付けを行う。
 研究成果は報告書としてまとめる。
 研究終了後は、報告書を資料として講習会を開催する。

(2) 見込まれる成果
 本調査研究により、コンクリート施工における様々なリスクの考え方が整理され、完成品とは言えないまでも、コンクリート施工に対するリスクマネジメントシステムの一応の形態は整うものと考えられる。また、コンクリート構造物の計画、設計、維持管理の各段階におけるリスクマネジメントシステム構築のための有用な基礎情報が得られると期待される。


(c)コンクリート施工におけるリスク要因の発生確率調査研究委員会