作用機構を考慮したアルカリ骨材反応の
抑制対策と診断に関する研究委員会

JCI-TC062A
 
委員会設立主旨

 アルカリ骨材反応(ASR)によるコンクリート構造物の劣化は全国に広がり、鉄筋破断の例がある一方で経過観察が妥当な例が大多数とされる。ASRにより劣化した構造物の構造安全性と対策に関しては土木学会アルカリ骨材反応対策小委員会で検討されたが、ASRを材料面から検討した例は1980年代のJCIの二つの研究委員会以降見当たらず、ASR診断については指針がない。一方で、国交省の方針は、反応性骨材の使用制限から、適切な抑制対策を講じることをASR対策の中心にするよう変化してきた。また、最近では2005年のJCIセメント系材料・骨材研究委員会では岩石学的評価の重要性と骨材の各種ASR試験法の矛盾が指摘されている。
 これらの状況を鑑みると、この十数年間の研究の進展を踏まえ、骨材の岩石・鉱物学的評価法、ASR抑制対策、およびASR診断手順について再検討する必要があると考える。
 本委員会では、最新のASR反応機構をまとめ、骨材のASR試験法とASR診断に必要な試験・分析方法について再考し、今後のあるべき姿を提案する。一方で、理論的検討の妥当性を検証する場となる既存構造物のASR劣化の現状について、岩石・鉱物学的な新しい視点も交えて整理する。


 
 
活動計画

 本委員会は3つのWGを構成し、委員会を進める。
WG1:岩石・鉱物学的評価とASR抑制対策について検討する。骨材のASR試験法を検証し、従来の化学法とモルタルバー法の限界の明確化と新しい手法の提案を行う。岩石・鉱物学的評価方法の整備と国際規格との整合性の検討も行う。骨材の反応性とアルカリ総量規制の有効性および混和材必要量の関係の明確化を検討し、ASR抑制対策を再考する。さらに、ASR診断・評価の方法論を整理し、診断・評価フローの提示と個別技術の提案を行う。
WG2:実構造物での劣化事例の取りまとめによるASRマップの作成を試みる。また、適切な対策を講じた上での多様な骨材の合理的な活用、および適切な診断に基づく劣化した構造物の根拠のある維持・管理計画の策定に役立つ基礎資料を提供したい。
WG3:現在問題となっているASRの諸問題について、国内外の最新のASRの反応機構に関するレビューを行う。


(c)作用機構を考慮したアルカリ骨材反応の抑制対策と診断に関する研究委員会