コンクリート工学年次大会2008(福岡)日程/2008.7.9〜7.11 会場/福岡国際会議場
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実行委員長の挨拶
JCI年次大会(福岡)の概況報告
コンクリート工学年次大会2008(福岡)
実行委員長 江崎 文也(福岡大学教授)
 2008年の福岡大会は,「九州発・美しく長寿命なコンクリート」をキャッチフレーズとして開催した。前回は世紀の変わる年となった宮崎大会で「歴史を刻み,次代を拓くコンクリート」をキャッチフレーズとしたが,それを引き継ぐものが今回のフレーズに込められている。世紀が変わり,その後地球温暖化が原因とされる異常気象が頻発し,将来の地球環境の悪化が予測される懸念が高まっている。

  このような背景もあって,長寿命で美しいコンクリートにつながるものとして,九州の産官学を中心に,コンクリートにとって避けられないひび割れ発生の確率をどうすれば少なくすることができるか等の品質管理の取り組みが進められてきた。このような状況をふまえて,長期間劣化しないコンクリートを造ることによって地球温暖化に貢献しようとする意味がフレーズに込められている。その結果,耐久性,劣化,寿命,耐震などコンクリート構造物に関わる諸問題,とりわけ,環境に関わる諸問題の研究成果が数多く発表された大会となったのではないかと思われる。

  大会は,福岡市が開発を進めている博多湾に面したウォータフロント開発地区に建設された国際会議場を全館借り切って開催された。会場は,博多駅や天神などホテルが集中する地区から会場前まで比較的便数の多い市内バスにて15分程度で移動可能な場所にあり,休憩時間には博多湾が眺望できるデッキが利用され,連絡橋で接続している宿泊・宴会施設であるサンパレスが会議の合間の休憩に利用されるなど,大会参加者の出会いの場としての効果も発揮されたのではないかと思っている。とりわけ,実行委員を中心とした会場スタッフの献身的な努力により,大きなトラブルもなく予定されていた行事を無事終了することができた。

  これから各行事の概要を報告する。「開会式」は,実行委員長による開会の挨拶,阪田憲次会長の挨拶に引き続き,辻幸和副会長から2007年度の活動状況報告があった。また,式次第では予定していなかったが,JCI-KCIジョイントセミナーの開催に合わせ出席されたKCIのChung, Young-Soo会長から挨拶がなされた。

  講演会は,菊池健児部会長をはじめとする講演部会委員を中心に,3日間,10会場で行われ,審査により採択された621編の論文が発表された。また,「リサーチプラザ」では,研究専門委員会の研究成果の展示が行われた。

  テクノプラザでは,牧角龍憲部会長をはじめとするテクノプラザ部会員を中心に, 63の会社および団体による77小間の参加により,最新技術の展示・紹介が行われた。今回はアンケート調査とともに,クイズ出題による賞品を用意し,参加者は3日間延べ7,500名にのぼり,いずれの会場とも多数来場者があり,盛況となった。同時に行われた出展者による「技術紹介セッション」においても,多数の参加のもと,熱心な質疑応答があった。

  「生コンセミナー」は,大会初日の午後からおよそ4時間にわたって行われた。大津政康部会長をはじめとする生コンセミナー部会員を中心に,「長寿命コンクリートへの展開,(いまさらひび割れ,いまなおひび割れ,どげんするコンクリート)〜美しさを保つために〜」をテーマに,703名の参加者により,石橋孝治部会員の司会のもと,趣旨説明と基調講演に続き,原田哲夫副部会長をコーディネーターとして,パネラーによる報告に続いて活発な質疑・応答が行われた。

  「研究集会」,「見学会」および「特別講演会」は,武若耕司事業部会長をはじめとする事業部会委員を中心に行われた。今大会で新規に企画した研究集会は,専用の会場を設けるとともに,大会参加者のほか,一般の人が無料で参加できる方法で実施した。各集会とも多数の参加のもと活発な討議が行われ,有意義な企画であったと思われる。今後も引き続き企画されることが期待される。

  「見学会」は,大会2日目に,「学生見学会−重工業発祥の地・北九州の歴史探訪」,「三池炭坑・有明海・柳川めぐり」および「JR九州新博多駅ビルと九州新幹線筑紫トンネル建設見学」の3つのコースの見学会を実施し,なかでもJCI九州支部との合同で企画した「JR九州新博多駅ビルと九州新幹線筑紫トンネル建設見学」には予定を上回る参加者があり,いずれも充実したものとなった。

  「特別講演会」は,2日目の各会場での講演会終了後に,一般の人も無料で参加できる方法で行われ,陶芸に興味のある人も含め284名の多くの参加のもと,「陶房雑話」を演題として,15代・沈壽官氏による陶芸における心と技についての極めて興味のあるお話を頂いた。

  「懇親会」は,佐藤嘉昭部会長をはじめとする総務部会員を中心に,近田孝夫総務副部会長の司会により,特別講演会終了後,連絡橋で接続された隣接するサンパレスの宴会場で行われた。大会期間中に博多で行われている博多祇園山笠の土居流れによる「博多追い山」のアトラクションが行われるなど,和やかな雰囲気のもと会員相互の懇親が深められるとともに,田畑雅幸次期実行委員長から北海道大会の準備状況の報告があり,約300名が参加し,盛会となった。

  「閉会式」は,実行委員長の謝辞の後,岡本享久年次論文査読委員長より発表論文の傾向や採択率などについて講評があった。その後,菊池健児講演部会長より69名の年次論文奨励賞の発表が行われ,実行委員長から受賞者への賞状と博多で出土した国宝「金印」を象った記念品が授与された。最後に,阪田憲次会長より,田畑雅幸次期大会実行委員長に委嘱状が手渡され,田畑次期実行委員長から北海道大会への招待の挨拶が行われた。

  本大会は,連日各講演会場とも盛況で,予定されていた行事も順調に進み,ほぼ所期の目的を果たして終了することができたものと考えている。これもひとえに講演者,座長,コンクリートテクノプラザ出展者,生コンセミナー参加者をはじめ,大会の諸行事にご協力いただいた方々のお陰である。また,年次大会委員会,査読委員会,本部事務局および実行委員会の方々の絶大なご支援の賜によるものであり,関係各位に心から感謝致します。