日本コンクリート工学会

ホーム > コンクリートについて > 月刊コンクリート技術 > 2017年3月号

2017年3月号

「構造物の耐久性向上のためのブリーディング制御に関する研究委員会」の活動概要と報告会(2017年6月14日開催)のお知らせ

執筆者:情報コミュニケ―ション委員会 委員
土屋直子(国土技術政策総合研究所)
(構造物の耐久性向上のためのブリーディング制御に関する研究委員会 委員)


研究委員会活動の主旨

本委員会は,ブリーディングの適切な制御による構造物の性能確保を目的として,十河茂幸委員長(広島工業大学・教授)のもと発足いたしました。性能評価WG,制御技術WG,試験方法WGのWG構成により2015年度~2016年度の2年間で活動しています。

※本研究委員会のWG構成・活動内容(概要)については,こちらもご参照願います。
http://www.jci-net.or.jp/~tc153a/


報告会の日時

本研究委員会の2年間にわたる調査研究の総括として,下記の日時において報告会を開催することとなりました。ふるってご参加ください。

日時:2017年6月14日(水) 13時から17時
場所:品川区立総合区民会館 きゅりあん 小ホール(東京都品川区東大井5-18-1)
報告内容:構造物の耐久性向上のためのブリーディング制御に関する研究委員会報告

※プログラム・申込方法などの詳細はこちらをご覧ください。
http://www.jci-net.or.jp/j/events/symposium/index.html


委員会中間報告1)

本研究委員会では2016年3月23日に中間報告会として『「コンクリートのブリーディング制御」に関するシンポジウム』を開催いたしました。シンポジウムの概要を以下に記載しますのでご参照ください。2017年6月14日の報告会では,下記の内容を踏まえた委員会活動の成果を発表する予定です。

※会員専用ページには「増刊コンクリート技術2017年3月号」として、中間報告会のより詳細な内容(一部結果含む)が掲載されています。そちらもご覧ください。
ログインページはこちら https://www.jci-net.or.jp/j/member/only/auth.php

○はじめに:ブリーディング取扱いの現状
コンクリートのブリーディング現象は材料分離の一つであり,フレッシュ時から硬化後まで関わる事柄です。具体的には,過小なブリーディングはコテ仕上げの施工に支障をきたし,一方で過大なブリーディングは部分的な組織の脆弱さを生じることから,構造体に影響を及ぼすと考えられます。しかし,ブリーディング現象がコンクリート構造物の性能に及ぼす影響は定量的に把握できておらず,また適切な制御は行われていないと言えます。

○性能評価WG活動 中間報告
性能評価WGでは,既往の文献調査からブリーディング現象がコンクリートの性能に及ぼす影響を調査し,整理を行っています。中間報告では,これまでの調査・整理から表1の分類を設け,またブリーディング現象がコンクリートの性能に及ぼす影響について明らかになった点を報告しています。

表1 ブリーディング現象がコンクリートの性能に及ぼす影響の整理の分類
分類No. 大分類 詳細分類
分類1 実験対象 大型供試体(実構造物),テストピース
分類2 コンクリートの性能 打継,打重ね,外観,強度,中性化・塩害,透気・透水,凍害,他
分類3 使用材料 粉体種類,骨材種類,添加量変化

○制御技術WG活動 中間報告
制御技術WGでは,既往報告の調査により,ブリーディングが増減する要因を整理することで,ブリーディングを抑制するためのポイントを整理しています。中間報告では,ブリーディングが増減する要因の整理のための調査結果を報告しており,表2に示す分類および影響を挙げています。

表2 ブリーディングが増減する要因の整理のための分類および影響に関する調査結果(中間報告)(一部抜粋)
ブリーディング増減要因の分類 影響に関する調査結果
使用材料 ・フライアッシュ添加量により影響
配(調)合 ・S/Cに影響を受ける。
・単位水量に影響を受ける。
・単位水量が大きくなるとブリーディングが減るという現象は水の量以外の要因も影響
・拘束されない水の上昇挙動の把握も重要
製造・施工方法 ・振動の影響はタイミングで異なる
・打込み高さが大きければブリーディング量は増大

○試験方法WG活動 中間報告
試験方法WGでは,コンクリートのブリーディング試験方法について,国内外の試験規格の動向の調査および試験に関するアンケート調査を行っています。これらの調査を通じて,ブリーディング試験の技術背景と実態をつかむことを目指しました。約2000件のアンケートを回収し,中間報告では調査結果の速報を行いました。

○今後の展開
各WGの今後の活動として,2016年3月のシンポジウムでは以下の内容を挙げ,活動を行っています。

性能評価WGでは,ブリーディングが構造体の性能に及ぼす影響およびブリーディングに起因する不具合とその対策事例について,既往文献の整理と分析を通し,コンクリート性能に及ぼす影響メカニズムの考察,定量評価の可能性の検討,ブリーディング特性に関する規定値設定の検討を行います。
制御技術WGでは,既往の研究成果などから材料,施工,環境条件などがブリーディング特性に及ぼす影響を調査し,試験条件,実験変動要因およびメカニズムに留意してブリーディングを抑制するポイントを再整理し,ブリーディングの制御技術を検討します。
試験方法WGでは,ブリーディング特性の試験方法の検討および基準化の検討を行います。

〔参考文献〕
  • 1)日本コンクリート工学会 構造物の耐久性向上のためのブリーディング制御に関する研究委員会,「コンクリートのブリーディング制御」に関するシンポジウム 委員会中間報告・論文集,2016

Copyright © Japan Concrete Institute All Rights Reserved.

トップに戻る