日本コンクリート工学会

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前会長メッセージ
会長退任にあたって

友澤史紀

 本年5月26日に開催された第41回通常総会で2年間の会長任期を終えることとなりました。この間、会員の皆様、副会長の阪田憲次、大野義照、君島健之、辻幸和各先生、理事各位、委員会や各種行事に献身的にご尽力頂いた方々、関係諸団体、また事務局の皆様に支えられ、会長としての職務を無事果たすことができましたことを心より感謝申し上げます。

  新会長には、昨年5月まで副会長としてご尽力いただいた阪田憲次岡山大学教授が就任されました。新会長にはコンクリートに関わる新しい時代の要請に対して本会を強力に導いていただけるものと確信しております。これまでに勝る皆様のご協力をお願いする次第です。

  2年前、会長に就任した時は、いわゆる耐震偽装事件、各種構造物の品質問題、少子高齢化の進展、公共投資の縮減問題など、建設・コンクリート関連産業は厳しい時代に直面しておりました。そのような中で、本会としては、単に専門的な活動に終始するだけではなく、コンクリートが社会の維持・発展に大きな貢献をしている重要材料であることに対し、一般社会からのよりよい理解が得られるように努力しなければならないと考え、その方向で皆様にもご努力をお願いしてまいりました。まだ十分なことはできておりませんが、このホームページの改訂もその一環として企図したものです。

  国際的な活動の拡大にも微力ながら努力してまいりましたが、そこで痛感しましたのは、やはり、諸外国ではコンクリートあるいは社会資本に対する社会の目が、わが国より数段愛情深いということです。わが国のコンクリート技術は間違いなく世界のトップランナーですが、コンクリートが社会から愛されないのはなぜでしょうか。これからは技術だけではなく、コンクリートで何を造るのか、どのような社会的な仕組みで造るのか、といった面にも目を向ける必要があるように思われます。

  最近のコンクリートを取り巻く情勢を見ると、われわれは今非常に大きな分岐点、大きくいうとパラダイムの変換点にさしかかっているように思われます。キーワード的にいいますと、従来の量的拡大の時代の終焉、品質要求の高度化、公共調達における競争条件の激化、それに伴う生産システムと産業構造の劇的変換、資源エネルギー調達・地球環境問題の激化、既存構造物の劣化対策と維持管理の重要性の急激な増進、などです。これらは先進諸国共通の課題でグローバルな対応が必要であり、より一層のISO活動も欠かせませんが、わが国は開発途上国などと比較しても、生産システムの面でかなり古い体質を引きずっており、旧弊の打破、より透明性のあるシステムへの転換は否応無しに進むでしょう。JCIは技術中心の組織ですが、コンクリートが社会に愛されるためには、これらの諸点にも多いに目を向ける必要があると思います。

  本会の直近の重要課題は、いわゆる公益法人改革への対応です、これから5年の間に、公益法人の認定を得るための条件整備をしなければなりません。この課題への対応委員会も辻副会長を委員長として発足しております。

  ここ3年有余の間、JCIの活動に、専務理事として自らの健康を顧みず懸命にご尽力いただいた田中健治郎氏を、本年2月9日に失ったことは痛恨の極みであり、皆様とともに哀悼の意を表したいと思います。

  最後に、改めて、この2年間の皆様のご協力に感謝申し上げ、また今後とも本会の活動へのご支援・ご協力をお願い申し上げ、会長退任の御挨拶と致します。

社団法人日本コンクリート工学協会
第22代会長
ともさわ・ふみのり

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