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2023年10月号目次
会誌「コンクリート工学」
コンクリート工学 Vol.61, No.10
2023年10月号
目次
巻頭言
コンクリートとのつきあい
竹田宣典
TOPICS
復興橋梁 聖橋
阿部貴弘
解説
2022年制定土木学会コンクリート標準示方書改訂の概要(その1)─全体概要と基本原則編について─
二羽淳一郎・丸屋剛・石田哲也・濵田秀則・古市耕輔・田所敏弥
概要:
土木分野におけるコンクリート構造物の設計、施工、維持管理にかかる代表的技術基準である土木学会コンクリート標準示方書が改訂され、2022年制定版として、基本原則編、設計編、維持管理編の三編が刊行された。本稿では、第一弾として、三編の改訂内容の概要と基本原則編について紹介する。今回の改訂におけるコンクリート標準示方書の総括的な特徴は、昨今の社会背景を踏まえて改築を前面に押し出したこと、解説の本来の趣旨を踏まえた記述へと統一を図ったこと、および電子版を同時に刊行したことである。また10年ぶりの改訂となる基本原則編では、前回2012年制定版の基本的な考え方は変更せずに、社会の変化や関連する最新情報を踏まえて改訂を行った。
キーワード:
改築、性能確保、情報伝達、技術者の役割
テクニカルレポート
土木分野におけるジオポリマー技術の実用化推進のための取組み
一宮一夫・山本武志・佐川孝広・藤山知加子・佐川康貴
概要:
建設分野で研究対象となっているジオポリマーは、フライアッシュを基本とし、強度増進のためにその一部を高炉スラグ微粉末で置換した系が主流である。低炭素、各種副産物の有効利用に加えて、強酸、高温に対する抵抗性に優れ、重金属やセシウムなどの有害物質固定能力を有する。本稿では、土木学会に設けられた「土木分野におけるジオポリマー技術の実用化推進のための研究小委員会(2019~2022年)」の成果の一部ならびに各々の筆者が実施した最新の研究や取組みを紹介した。
キーワード:
ジオポリマー、フライアッシュ、硬化メカニズム、鉄筋腐食、工場製品、鉄筋コンクリート
工事・プロジェクト記録
宮古島トゥリバー地区ホテル計画における長大建物に対するコンクリートの収縮を考慮した設計対応
角田高紀・稲葉洋平・太田崇士・竹井大将
概要:
本稿で紹介する建物は宮古島西岸のトゥリバー地区に位置し、宮古島と伊良部島を結ぶ伊良部大橋を一望できるリゾートホテルである。宮古島はコンクリートの収縮に対し非常に条件の良い地域であるため、本計画はその条件の良さを生かし、両翼80m、全体長さ約190mの長大建物に対し一体での計画を実現している。一体化の実現に向け、設計時にはコンクリート収縮量の予測、それを用いた応力解析を行い、施工時には光ファイバ計測を実施し、解析の妥当性を検証している。
キーワード:
長大建物、乾燥収縮、温度収縮、光ファイバ計測
ニューマチックケーソン工法を用いた配水池建設における大規模コンクリート工事について
後藤修二・高尾紘典・富井康雄・仲谷直行
概要:
都の水道は、集中的に整備してきた浄水場の更新、切迫性が指摘される首都直下型地震などの課題に直面しており、人口減少や感染症等、水道事業に影響を及ぼす新たな課題も顕在化してきている。このため、東京都水道局では、こうした課題に対し、将来にわたり安全で高品質な水を安定的に供給する強靭かつ持続可能な水道システムを構築するため、送水管のネットワーク化、給水所の新設等の取組みを進めている。今回の配水池築造工事は、この一環であり、浄水場から送水された5万m
3
の水道水を一時的に貯水し、配水区域内に安定した水圧で水を配る施設をニューマチックケーソン工法で施工するものであり、本稿では、都市部の狭隘な作業エリアで、時間的な制約がある中で密実なコンクリートを打ち込むための施工計画や環境配慮型コンクリートの使用実績について紹介する。
キーワード:
配水池、ニューマチックケーソン工、高流動コンクリート、環境配慮型コンクリート
セントル下端からの圧入によるトンネル覆工の省力化─国道418号 足瀬トンネル─
小山広光・弘光太郎・村松賢一・橋本紳一郎
概要:
覆工施工のさらなる省力化、省人化および覆工の品質確保を目的として、令和3年度2災公共土木施設災害復旧工事(足瀬トンネル)の一部施工区間に「自己充填覆工構築システム」を適用した。セントル下端からの自己充填コンクリートの圧入により、締固め作業および上方への配管の切替え作業を行わずに良好な覆工を構築することができ、省力化や品質確保に加え作業環境の改善が可能であることを実証した。本稿は、自己充填覆工構築システムの概要および足瀬トンネルへの適用について報告するものである。
キーワード:
トンネル、覆工、自己充填コンクリート、省力化、充填、圧入
講座
コンクリート道路橋の点検・診断・補修 まえがき
野口彰宏
コンクリート道路橋の点検・診断・補修 (1)橋梁形式や材料の変遷と事例の紹介
安藤博文
年次大会報告
1.コンクリート工学年次大会2023(九州)の概況
濵田秀則
2.コンクリート工学年次論文集を査読して
北山和宏
レビュー論文(文献調査委員会)
微視的視点を考慮したASRモデルを用いた構造解析に関する研究動向調査
戸田圭彦・三浦泰人・上田尚史・川端雄一郎・高橋佑弥
国際ニュース
FIPとfibの30年間を振り返って
春日昭夫
委員会報告
ISO/TC71 第27回総会報告
ISO/TC71 対応国内委員会
随筆
地盤災害への備え
中井正一
海外だより
シンガポールでのトンネルセグメントに関する試験練りについて
鈴木翔太
さろん
学生が集まらなくなると大学はつぶれると思っていたけど
加藤大介
コンクリート技士のページ
コンクリート技士取得の感想
車紅升
コンクリートは「生」の材料
トゥメン ノミン
コンクリート診断士のページ
良いコンクリートのため
佐野仁紀
コンクリート診断士を取得して
後藤優太朗
我が職場
地域の安全・安心を支えるニタコンサルタント(株)
奈加博之
地域社会に貢献するPCメーカー 関西ピー・エス・コンクリート(株)
坂本守